序の舞

上村松園女史。私は、
宮尾登美子原作の「序の舞」を、朝日新聞で連載されていた1981~2年に読み、
上村松園のことを知ったと言っても過言ではないと思います。

母は上村松園の絵は、好きではないと言ったが、
私自身は松園の絵そのものについて、
好き嫌いをコメントできるほど知っているとは言いがたい。

名都美術館で開催中の上村松園・松篁・淳之展のチケットを友人から頂いたので、
時間があった昨日、早速行ってきた。

雨が降るような降らないような、蒸し暑いようなそうでもないような微妙な天気。
結局ばたばたしながらも薄茶色の小千谷縮みにいつもの白いポリの羅帯。
あれ、写真を取り忘れて脱いでしまったが・・・・
帰りに寄った三味線仲間のおばあちゃんに、
地味だねぇ、おばあさんの着物?と言われてしまった・・・(^^;)
襦袢は木綿だったので、結局かなり蒸し暑かった。

さて、さほど広大ではない美術館を見終わった最後には、
画集が置いてあるちょっとした休憩所があり、
実はそこは美術館の中心地でありもう一度初めから見ることも出来、
売店に行くことも出来、見終わった余韻に浸ることも出来る場所で、
そこでしばらく時間を過ごすことで、色々の想いがまとまってくるのです。

さて、見終わった感想と言えば、親子三代の絵画展ではありますが、
これは二人展でもあり、親子展でもあり、
それぞれの展覧会でもあったと思ったのです。

展示室への導入廊下には三氏の経歴と写真が掛けてあるのですが、
上村松篁、淳之氏のお二人のなんと顔がそっくりなこと、
もちろん親子なので同時期に同じ顔をしていたわけではないでしょうが、
家族写真の中でも、淳之氏は父親の松篁氏に一番似ている。
そして絵もそっくりである。
母親の松園には顔も絵も全然似ていない。
この二人はまるで二人して一人の絵画人生を送ったようだと私には思えた。
上村松篁氏の絵に次第に鳥の絵が多くなっていく過程。
淳之が松篁氏とよく似た鳥の絵に始まり、
次第に特徴的な・・着物の柄でよくお目にかかるあの鳥になっていく様子。
あの二人はきっと一人なんだ!

さて、松園の絵については、実に感動的なものを発見したのです。
それは完成作品と同じ大きさの下絵が隣同士に展示してあったこと。
しかも、切り貼りや描き直しのあとのあるその下絵のなんとすばらしいこと!
完成作品よりもよほど感動的なのである。
謡曲に題材を取った花がたみの狂女は、
完成作品はどうも狂女と言うにはカワユすぎると常々思っていたが、
下絵はなるほど狂った精神が描けている。
精神病院にまで通ってスケッチしたという表情が描けている。
完成作品と一番の違いは瞳の位置であると見た!
日本画の岩絵の具は油絵と違い、
塗り直しが出来なくて一発勝負であるため、入念な下絵が必要になり、
そして下絵の方がすばらしいという事になるのだそうだ。
最後の休憩所に置いてある松園の画集で、思わず他の下絵も見てしまった。

さらに松園の絵で感心したのは、「序の舞」にも書かれていたが
松園が元々惹かれていたという着物の柄。これは、やはりすばらしい。
また、画集を見ても余り無くて残念なのだが、
松園の描く群像が私はとても気に入ったのだ。
松園の美人画は一人であっても、物語性を感じさせるのだが、
私は主人公よりも脇役に惹かれることがあるので
脇役も描かれた群像というか、登場人物の多い絵の方が好きである。
でもこれって、絵本とか挿絵とかが好きなだけじゃない、と言われそうですね。

そう言えば、リニモに乗ったのも、万博以来。
結構お客さん乗ってるじゃない。良かったね、リニモ屋さん。
ま、そんなわけで、私にとって収穫の多い名都美術館でした。
[PR]
by yamamotoyk | 2006-07-08 15:01 | 外出 | Comments(6)
Commented by とんぼ at 2006-07-08 18:28 x
親子三代の才能ってのはすごいですね。私は松薗さんの絵では、華やかな着物を着ているのもいいんですが、暮らしの中の女を描いたようなのが好きです。松薗さんの下絵は、迫ってくるものがありますね。下絵を見て完成品を見ると、突き抜けた穏やかさを感じます。日本がの展覧会に行くと、いつも「下絵も一緒にならべてほしい」と思います。この前「盗作」で騒がれた御仁がいましたが、日本画は模写を沢山するそうで、松薗さんは晩年になっても、美術館でよく模写をなさっておられたそうです。日々精進・・なんでしょうねぇ。
Commented by yamamotoyk at 2006-07-08 19:02
とんぼさん、本当に親子三代続く才能はすばらしいですね。完成作品は突き抜けた穏やかさ、なるほどそうとも言えますね。日々小いさな事であっても精進・・・したいですね。
Commented by ぶり at 2006-07-08 19:08 x
おぉ、上村三代展ですか~♪
何年か前、姫路へ三代展を見に行きました。
やっぱり、松園の絵が、抜きん出てます~♪
奈良の松柏美術館へ行くと、スケッチなど、画帳も展示してます。
松園の絵は、ゆるがせにしない筆の運びで、緊張ある線がすごいと思う。
師匠筋の竹内栖鳳の自由闊達な線とは、全く違う。 栖鳳の鳥の絵、生き生きしていて好きですが、松篁・淳之の鳥は、どうも。。。
Commented by 白雪ママ at 2006-07-08 19:49 x
松園大好きです。図書館で重い本を借りてきてうっとりしましたよ。
顔が優しいですよね。髪のふんわりとした色使いとか、、、狂女はいいですねえ。たしかその本にも下書きのことが描かれてたと思います。
あと幽霊の絵もありますよね。
あの藤の花に蜘蛛の巣の着物が素敵で長女が欲しい~と言っております。ほんわかした女性の顔だと「ママに似てる」と言ってくれて(申し訳ありません)それもちょっとうれしいところです。えへっ。
チケット売り場でそれを見て気になってました。やはり行こうかしら?

昼神温泉の山翠という旅館ではあちこちに松園の絵が飾ってありますよ。中庭で蛍の小川もありましたけど、まだ見えるかもしれません。
雰囲気も大正ロマンなかんじですし、お料理もおいしかったですよ。
Commented by yamamotoyk at 2006-07-08 22:42
はい、ぶりさん、松柏美術館からの絵もずいぶんあったようです。
松園さんは苦労の人で、あまりに偉大であったため、
息子さん達には気の毒なこともあったのではないかと思います。
Commented by yamamotoyk at 2006-07-08 22:43
はい、ママさん、そう言えば、そんな感じもしますね♪~
金券屋でチケット買うとかなり安いようですよ。
<< 九谷焼 任意認知 >>