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映画・山中常磐

つきあいで映画の切符を買った。
ウイルあいちでの国際女性映画祭とやら。
山中常磐というのが面白そうだったので、今日行った。

いやぁこれは、よかったです。得しちゃった感じ。
監督の舞台トーク、解説まであったし。

これは江戸初期の岩佐又兵衛作の絵巻物「山中常磐物語」12巻を撮影し、
バックに浄瑠璃を付けて解説としたものです。
浄瑠璃の文句は絵巻物に書いてある文章で曲は新たに作曲した物。
監督の羽田澄子氏の40年にわたる
思いの詰まった絵巻物の映画化というだけあって、
絵巻の内容だけでなく、
絵巻の作者岩佐又兵衛が絵巻を作るに至った思いも同時に表現している。

物語は常磐御前が牛若丸を探しに奥州へ行く途中
関ヶ原近くの山中の宿で、盗賊に殺され、
それを知った牛若丸が、その盗賊を討ち果たし、
仇討ちを助けた宿の主人に恩賞を賜るというもの。

絵巻物は大切に保管されてあったために
400年という年月を感じさせない保存状態の良さ。実物はMOA美術館所蔵。
もっとも取り扱いには大変な苦労があったようだが。

将軍家のご用絵師となった岩佐又兵衛の作で、
彼の思いが詰まった絵巻物と詞書きに曲を付けた浄瑠璃を合わせて聞く。
なんという贅沢。絵もすばらしいし、
たとえ、全巻公開されている絵巻であったとしても
(実際そのような物はまず無いと思うし、この絵巻も残酷な場面は非公開)
詞書きを読むことができない(つづけ文字が読めないし・・・)
それがそれが三味線の浄瑠璃まで付いて・・・
と言っても、実際はまともに言葉は聞き取れないのであるが、
なんと英語訳が字幕になっているのです。(^^;)
羽田監督も迷ったそうなんですけど・・・簡単な日本語訳にするか、
詞書きをそのまま書くか・・・書いてもわかんないだろうし・・・・って。
で、とりあえず英語にしたって・・・
で、なかなかリアルに残酷なので12歳以下禁止になっている。
18禁、あるいは成人指定にならなかったので監督は感心したそうな。
今日からポレポレ東中野で一般公開だそうである。

ただ、絵画と音楽(今回は絵巻物と浄瑠璃)に興味のない人は
これが映画?と思うかもしれない。
これは映画というより映画の手法を使った
美術鑑賞の新しい(そして贅沢な)手段だと思う。

絵巻物は一般庶民の物でなかったために
案外すばらしい物が人知れずあるらしい。
そして、知られていても、パッと見て終わる訳にいかないので、
十分に鑑賞できない。
これからこのような絵巻物鑑賞の映画ができていくとうれしいなぁ・・・
その絵巻物の時代に合わせた音楽と語り付きで。
by yamamotoyk | 2005-09-10 19:41 | 三味線 | Comments(4)
Commented by ぶりぶりぎっちょう at 2005-09-10 20:09 x
山中常磐とか諸々を見に、熱海に行ったはずなのに、いつも、違うところへ寄って帰ってきてしまう。 今度こそ、この美術館へ寄らなきゃ。
リンクの御礼を申し上げるのが、遅くなってしまいました。今頃、気づく、そこつもんです。
Commented by yamamotoyk at 2005-09-10 20:57
リンク、あ、こちらこそ、挨拶もなく入れてしまい、すいませんでした。
熱海、美術館もふくめ、一度行ってみたいとは思いますが、
なにぶん遠く・・・
しかし、本当にスゴイ美術館ですね。(ちょっとこわい・・・)
Commented by ぶりぶりぎっちょう at 2005-09-10 21:31 x
あっ、いえいえ、嬉しいです♪
そうそう、この絵巻物鑑賞映画、まだ見てませんが、DVDの編集の要、映像と音楽の編集の参考になりそうな感じですね。 見てみたいな。
Commented by yamamotoyk at 2005-09-10 22:23
ほう、映像と音楽編集の参考ですか。
実写部分はピアノ伴奏。
絵巻物部分は、人形浄瑠璃みたいに
語りに太棹三味線がべんべ~んと伴奏がつきます。
音楽にカット割りの映像を合わせたり、
カメラを動かしたり、正確に言うとカメラは固定して、
絵を載せた台を動かす(レールの上を人が押して動かす)。
是非ご覧になってください。
絵を見たり、言葉を聞き取る事に一生懸命で
そういうことは全く考えませんでした。
気がつかないほど、うまく作ってあったと言うことでしょうね。
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